東アジア国際シンポジウム足取り


【記録】《東アジア国際シンポジウム》の足取り

北東アジアの平和、地域協力、共同繁栄の世論形成構築
研究所創立26年間、北東アジア各地で16回も開催
各国相互理解、人的交流ネットワーク作りに尽力

東アジア総合研究所は創立5周年を迎えた今から21年前の1996年から、北東アジアの平和と経済協力の促進、北東アジア経済共同体の構築をめざし、毎年各国・地域で当該国・地域の専門家、学者、研究者を集め「東アジア国際シンポジウム」を開催、相互理解と親善交流を促し、人的交流ネットワークを構築し、世論形成に尽力してきた。「行動する民間シンクタンク」として「東アジア時代」のパイオニアの役割を果たしてきた。
 
 ここで過去創立26年以来16回にわたる東アジア国際シンポジウムの足跡をたどり、東アジアの平和と安定、北東アジアの地域協力の重要性と意義を確認してみる。
 第1回目は、1996年6月に横浜で「豆満江開発」をテーマに行った。90年代に入ってマスコミや学会などで「環日本海経済圏」について論じられるようになり、また日本海側自治体、研究機関によってシンポジウムや研究会、セミナーなど開催されるようになったが、関東地域で豆満江開発をテーマに掲げた国際シンポジウムは初めてであり、内外から大きな評価を受けた。
 第2回目は、1997年9月に韓国のソウルで「環黄海圏経済交流協力」をテーマに行った。このシンポジウムでは、日本、韓国、中国の三国を中心とする環黄海圏経済協力の現状と課題について学者、研究者、企業家、言論人が充実したディスカッションを行った。
 第3回目は、1998年8月に中国・吉林省の延吉で、再び豆満江開発をテーマに国際シンポジウムを行った。延吉市は、ロシアのウラジオストクと北朝鮮の清津を結ぶ「黄金の大三角地帯」の一角であり、豆満江開発の該当地域であるだけに、このシンポジウムは豆満江開発を促進する上で必要な相互理解と世論喚起の面で多大な成果をあげることができた。
 第4回目の東アジア国際シンポジウムは、1999年7月にモンゴルで北東アジア経済協力をテーマに開催した。それは第3回国際シンポジウムに駐日モンゴル大使のフレルバートル大使がパネリストとして参加したのが契機となった。
 第5回東アジア国際シンポジウムは、2000年8月に台北で開催した。テーマは「IT革命と北東アジア経済協力」であった。IT革命の時代に東アジアにおける地域経済協力ネットワークをいかに拡大・強化していき、共存共栄を成し遂げるかという問題意識で取り組んだ。台湾では民間レベルでは初めての大規模な北東アジア経済協力をテーマにした国際会議として大成功を収めた。
 第6回東アジア国際シンポジウムは、当研究所創立10周年を記念し、2001年8月に東京で開催した。テーマは「北東アジア経済共同体と朝鮮半島情勢の展望」であった。南北首脳会談そして日朝国交交渉の再開と中断という流動的な朝鮮半島情勢を鑑みて、速やかに朝鮮半島、ひいては北東アジアの平和と安定をめざす世論形成に寄与するとともに、それを契機に大きく動き出そうとする北東アジア経済協力の前進と経済共同体の展望をさぐり出そうとするものであった。
 第7回東アジア国際シンポジウムは、日本と最も近くて、北東アジアの有力な物流基地である韓国の釜山で2003年8月に開催した。テーマは「北東アジア自由貿易圏の形成と展望」であった。北東アジアの自由貿易圏の展望の下に、物流面での都市間協力を中心議題に、日本、中国、韓国、ロシア、モンゴルの専門家、学者、研究者が多彩な論議を交わした。
 第8回東アジア国際シンポジウムは、2004年8月に中国・天津で開催した。第7回目で論じられた北東アジア自由貿易圏の問題を、日中韓を軸とする環黄海圏地域協力という観点から、物流のみならず、金融・IT協力分野まで幅広く論議することで、北東アジアの共同経済繁栄と平和安定の世論と機運を高めた。
 第9回東アジア国際シンポジウムは、2005年8月に韓国・ソウルで開催した。テーマは、「朝鮮半島の平和定着と北東アジアの共同繁栄」であった。北朝鮮核問題が6カ国協議で論議されている中、朝鮮半島の平和を最も希求するソウルで、民間の立場からいかに北東アジアの平和と共同繁栄を実現するかを多角的に論議した。
 第10回東アジア国際シンポジウムは、2007年11月に東京で開催した。テーマは「朝鮮半島の平和体制と北東アジア地域協力」であった。第9回目のシンポジウムの論議をさらに深めるため、民間版「6カ国協議」という性格を持たせて、日本、韓国、中国、北朝鮮、米国、ロシアの6カ国の朝鮮半島問題の専門家、学者を一堂に集めて、朝鮮半島の平和の道筋、北東アジア地域協力の現状と課題について討論した。
 第11回東アジア国際シンポジウムは、2010年8月に韓国ソウルで開催した。テーマは、「G20と日韓中経済協力プロジェクト」であった。11月にソウルで初めてG20 が開催されるという状況の中で、韓国が先進国と新興国との仲介の役割を果たすことに注目し、この会議では北東アジア石油ガスパイプライン事業や日中韓海底トンネル事業の展開、課題と意義について主に3国の専門家、研究者らが深い議論を交わした。
 第12回東アジア国際シンポジウムは、再び脚光を浴びつつある豆満江地域開発に焦点を当て、2011年8月に吉林省長春で開催した。テーマは、「豆満江地域開発と北東アジア地域協力」である。日本では、この地域に対して官民ともにまだまだ関心が低いが、将来の成長展望は明るく、日本でこの地域に対する関心を高める契機を創り出すことを目指した。90年代初期に脚光を浴びた豆満江地域開発は、当該国の中国、ロシア、北朝鮮3国間の利害調整や北朝鮮核開発問題など、国際政治の要因と、同地域のインフラ不足で地域協力が遅滞した。しかし、中国の「長吉図計画」の推進によって、再び豆満江地域開発が動き出した。この会議では、豆満江地域開発をめぐる国際協力の重要性と意義が確認され、地域協力を活性化するための方案が中国、韓国、日本の専門家、学者の間で活発に論議された。
 第13回東アジア国際シンポジウムは、緊張が高まる「朝鮮半島の非核化と日朝関係の展望と課題」をテーマに2012年11月2日、東京の学士会館にて開催された。朝鮮半島の非核化をめぐる6カ国協議が長らく中断されている中で、また日本、韓国、中国3カ国の間で「領土問題」をめぐり外交的軋轢が増している中で北朝鮮系学者(在日)を加え3カ国の民間の専門家、学者、研究者が一堂に会し、朝鮮半島の平和と安定のために忌憚のない議論を交わしたことは従来にも増してタイムリーで意義深い国際会議であった。
 第14回東アジア国際シンポジウムは、2015年8月21日、戦後70年、日韓国交正常化50周年を記念して「朝鮮半島の統一と北東アジアの新しい秩序構築」をテーマに韓国ソウルの国会図書館大講堂で開催された。この時期、朝鮮半島は南北軍事衝突で緊張が激化していた。軍事境界線付近に対北宣伝用の拡声器の設置をめぐって北朝鮮が反発し、双方軍隊間で砲撃しあう事態が生まれ、一触即発の危険な雰囲気が漂う中で国際シンポジウムが進行された。こうした情勢に合わせて、共同主催の韓国側パートナーは朝鮮半島の平和と統一を追求する韓半島統一研究院と漢白統一財団の2研究団体であった。
 慰安婦問題をめぐって日韓両政府間で相当ぎくしゃくした関係が続いている中で、一般市民300人が結集する中、日韓両国の著名な学者、専門家が立場の差を超えて一つの場に集まり、冷静な意見交換を通じて「アジアの平和・安定・繁栄」という共通の目標に向けてエネルギーを結集したことで、学問的成果だけでなく、日韓関係改善と友好に寄与する民間交流行事として成功した。
 第15回東アジア国際シンポジウムは、第14回国際シンポジウムの成果を拡大進化させるため、「日韓新時代と東アジアの未来」というテーマのもとに、「2016東アジア国際シンポジウム」として2016年6月10日、東京の学士会館にて開催された。2015年末の日韓両政府による『慰安婦問題合意』を受けて日韓関係改善のムードが醸成された環境を生かして、これを確固たるものにし、さらには、東アジア全体の安定、友好、豊かな未来を築いていこうとの問題意識を持つ日韓両国の最高レベルの研究者、学者が集まっての熱い議論が交わされた。韓国からは、前年のシンポジウム共同主催者であった漢白統一財団に加えて、韓国外務省傘下機関の国際交流財団が共同主催者として名を連ねた。
 基調講演を行った安忠栄・韓国同伴成長委員会委員長は、一衣帯水の隣国である日韓両国は互いに文明国として相互信頼を築きあげ、多元的交流を積み重ねていけば、アジア発展の未来を約束する東アジア共同体を形成できるとの展望を示した。歴史問題を乗り越えて日韓友好親善関係構築は可能だとのメッセージが共有できたことが最大の成果であった。
 第16回目の「2017東アジア国際シンポジウム」は2017年8月24日、北朝鮮の核・ミサイル挑発とそれに対する米国トランプ政権の軍事圧迫作戦によって朝鮮半島が超緊張状態に入っている中、14回目と同じソウル国会図書館大講堂で開催された。テーマは『急変する北東アジア情勢と朝鮮半島の平和体制、統一の展望』であった。漢白統一財団に加えて、韓国において最高峰の政策研究機関、世宗研究所との共同主催であった。94年の第1次核危機よりもさらに高度化した核戦争の危機をいかに克服し、朝鮮半島の平和を確保するか、について、日米韓、中国の碩学たちが忌憚のない議論を展開し、戦争阻止、平和確保の国際世論を高める世論形成の構築に貢献できたことが大きな成果であった。(詳細は別添の2017東アジア国際シンポジウムを参照されたし。)    (2017年9月末記)

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